
シンチャオ♪
カカオの実から取り出したばかりの種は、そのままでは非常に渋く、人間がその豊富な栄養素を十分に吸収することが難しい状態です。それを、美味しく、かつ効率的に身体に取り入れられるように変えてくれるのが「発酵」という神秘的なプロセスです。今日は、栄養学的な観点から見た、発酵という名の「天然の調理」についてお話しします。
バリア=ブンタウ省チャウドゥクの木枠の中で行われる約6日間の発酵中、自然界の微生物たちの働きによって、カカオ豆の内部では劇的な化学変化が起きています。たんぱく質が旨味成分であるアミノ酸に分解され、複雑な構造を持つ多糖類が消化しやすい形に姿を変えます。さらに、発酵によってカカオ特有の鋭い苦味や渋味の成分が和らぎ、香気成分が生成されるだけでなく、身体への栄養吸収率が飛躍的に高まるのです。
OCAが現在も研究を進めている、発酵技術のさらなる深化。それは、この生命のプロセスをより科学的にコントロールし、再現性を高めるための挑戦です。微生物の力を借りてカカオの生命力を最大限に「解放」する。これは、私たちが本来持っている消化の力を補い、自然の恵みを丸ごと取り入れるための、人類が数千年もかけて培ってきた知恵の集大成と言えます。
私たちは、カカオを単なる「栄養成分の集合体」とは捉えていません。微生物たちとの共生によって磨き上げられた、多層的な「生命のバトン」だと考えています。チャウドゥクの農園に住む目に見えない微生物たちが、私たちの身体のために懸命に働いてくれている。そんな大いなる繋がりを感じながらカカオを味わうとき、その一粒は、私たちの生命力を内側から静かに、しかし力強く押し上げてくれるはずです。


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