カカオポッド中果皮に秘められた食品としての未来。手作業の分離から描く、自動分離機とカカオスナックの挑戦

シンチャオ♪

私たちがベトナム・バリア=ブンタウ省チャウドゥクの大地でオーガニックカカオの木々と向き合っているとき、収穫のたびに山のように手元に残るのが「カカオポッド(殻)」です。

世界のチョコレート業界を見渡したとき、カカオポッドの活用といえば「そのまま乾燥させてバイオ炭にする」あるいは「粉砕して堆肥にする」というのが、ごく一般的なアプローチでした。しかし、私たちが世界でも極めて珍しい「カカオポッドの殻を、あえて『外果皮』と『中果皮』の2つに厳密に分けて考えるべきだ」と主張し、実践しているのには、現場での深い気づきと明確な科学的理由があります。

今回は、一般の常識では見落とされてきた「カカオポッドの中果皮」に焦点を当て、その成分の秘密、すでに日本へお届けしているカカオスナックの実績、そして私たちが描く未来のテクノロジーの構想についてお話ししていきたいと思います。

カカオポッドが抱える「水分」の壁と、外果皮・中果皮を分ける理由

なぜ、世の中の大手メーカーや農園は、カカオポッドを細かく分けることなく「丸ごと乾燥」させようとするのでしょうか。その最大の理由は、カカオポッド全体が持つ圧倒的な「水分量の高さ」にあります。

農業化学のデータや現場の実測値でも示されるように、収穫したてのカカオポッドはその全体重量の約60%近くが水分で占められています。そのため、何の工夫もせずにそのまま乾燥させようとすると膨大なエネルギーとコストがかかってしまい、「利用したくても、コストが合わずに誰も手を出せない」というのが長年の業界の現実でした。

だからこそ私たちは、ポッドを一つの塊として捉えるのではなく、構造を「外果皮」と「中果皮」の2つに解体し、それぞれの特徴や成分に合わせた全く異なるアプローチで活かすべきだと考えたのです。

  • 外果皮(硬い外側): 水分が比較的少なく、リグニンやセルロース、カリウムなどのミネラルが豊富。飼料や肥料、そしてバイオ炭の原料として最適。
  • 中果皮(内側の柔らかく水分を含んだ部分): ペクチンや食物繊維を豊富に含み、適切な加工を経ることで「食品」としての高いポテンシャルを秘めている。

すでに形にした実績:「カカオスナック」という挑戦

この中果皮のもつ可能性に魅せられ、私たちは数年前に「カカオスナック」として独自の商品化を実現し、実際に日本へと正式に輸入・販売を行ってきました。

チョコレートとは異なる、カカオポッドの肉厚な中果皮部分が持つ独特の食感や風味。食品科学の論文や分析でも示されるように、中果皮には植物由来の食物繊維や微量栄養素がしっかりと息づいています。アメリカなどの先進的なブランドでも「カカオフラワー(粉末化)」などとしての活用が模索され始めていますが、私たちは机上の空論ではなく、実際に形にして日本のお客様へお届けするという一歩をすでに踏み出してきました。

中果皮の成分をもっと深く科学的に解き明かし、さらに洗練された食品や素材へと昇華させていくこと。それは、カカオの可能性を広げる上で私たちの大きな原動力となっています。

現実の壁:世界に存在しない「分離機」と、手作業の日々

しかし、ここで私たちには大きな課題があります。それは、「外果皮と中果皮を美しく、効率的に分離するための機械が、私の知る限り世界中のどこにも存在しない」という現実です。

外果皮の硬さと、中果皮のしっとりとした柔らかさや水分バランスは全く異なります。そのため、現在私たちの現場では、一つひとつのポッドを職人の手作業で丁寧に剥き、外果皮と中果皮へと分離する気の遠くなるようなプロセスを重ねています。職人の手仕事だからこそ最高の品質が保たれていますが、これを未来のグローバルな循環へと広げていくためには、どうしても次のステップが必要となります。

未来への構想:バリア=ブンタウのSteam Hubメンバーと挑む「自動分離機」の開発

だからこそ、私たちが今描き、強く進めようとしている夢があります。

それは、近いうちに外果皮・中果皮のそれぞれの製品化を完全に軌道に乗せた上で、バリア=ブンタウ省の「Steam Hub」の仲間たちと共に、世界初となる「カカオポッド自動分離機」を自分たちの手でゼロから開発するということです。

ベトナム・チャウドゥクの大地でカカオに向き合う私たちが、現地のエンジニアやクリエイターが集まるSteam Hubのメンバーとタッグを組む。現場の知恵とテクノロジーを融合させ、手作業で行っている分離プロセスを自動化することができれば、カカオポッドのアップサイクルは世界規模で劇的な進化を遂げることになります。

廃棄物を生まない農業の未来を、チャウドゥクから

外果皮は飼料やバイオ炭へ、中果皮はカカオスナックやカカオフラワーなどの食品へ。そして、それを分けるための自動分離機を自分たちの手で創り上げるという壮大なロードマップ。

論文が教えてくれる科学的な成分データと、私たちが現場で流した汗と実感が交差する場所。カカオの殻という「かつて捨てられていたもの」に、人間の知恵とテクノロジーで新しい命を吹き込む挑戦を、私たちはこれからも一歩ずつ進めていきます。

チャウドゥクの大地から世界へ発信する、カカオまるごとのアップサイクルの未来を、ぜひこれからも楽しみにしていてください。


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また、カカオポッドの有効活用、中果皮を活用した食品開発、バルク供給のご相談、あるいは私たちの思想やSteam Hubでの自動分離機開発の取り組みに共鳴してくださるパートナー様との事業コラボに関しましては、下記よりお気軽にお問い合わせください。代表の野沢が責任を持ってご対応いたします。

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