
シンチャオ♪
私たちは、ベトナム・ホーチミン市チャウドゥク区(旧バリア=ブンタウ省)の大地でカカオを育て、自社農園と加工工場を通じて、カカオ本来の味わいと可能性を追求してきました。
カカオ豆だけでなく、カカオバター、カカオパウダー、カカオハスクなど、カカオから生まれる一つひとつの素材に向き合う中で、私たちは新たな商品開発を構想しています。
それが、OCAのカカオ原料と日本の石鹸職人の技術を組み合わせた、自然由来原料を中心とするカカオ石鹸です。
※本記事は、現在検討している商品開発構想を紹介するものです。製法、配合、香り、色、使用感、商品名などは未確定であり、今後、専門メーカーによる試作と品質・安全性の確認を経て決定します。
■ 1.食べるカカオから、肌を洗うカカオへ
カカオは、チョコレートや飲料として楽しまれてきた植物です。
一方で、カカオ豆から搾られるカカオバターは、石鹸や化粧品の原料としても活用されています。特にカカオバターは常温で固形に近い性質を持ち、石鹸の硬さや泡立ち、洗い上がりを設計するうえでも興味深い油脂です。
OCAでは、国際有機認証を取得した農園のカカオを自社工場で加工し、未精製カカオバター、非アルカリ処理のカカオパウダー、カカオ豆の種皮であるカカオハスクなどを製造しています。
これらの素材を食品だけでなく、毎日の暮らしに寄り添う別の形でも生かせないか。
そこから生まれたのが、日本国内の石鹸メーカーとともに、OCAのカカオ原料を使った石鹸を開発する構想です。
未精製カカオバターを油脂原料の一つとして使用し、カカオパウダーの自然な色合いや素材感を生かす。そして、通常はチョコレート製造の過程で取り除かれるカカオハスクについても、微粉末化や抽出など、肌への負担に配慮した活用方法を検討していきます。
すべてを無理に配合することを目的にするのではなく、泡立ち、硬さ、香り、洗い上がり、溶け崩れにくさなどを確認しながら、毎日使いたくなる石鹸を目指します。

※掲載している石鹸の写真はイメージです。現在構想中のOCAカカオ石鹸の試作品・完成品ではありません。
■ 2.石鹸づくりに欠かせない「鹸化」という反応
自然派石鹸の成分や製造方法を調べていると、「石鹸素地」や「水酸化ナトリウム」という言葉を目にすることがあります。
水酸化ナトリウムは、一般に苛性ソーダとも呼ばれます。その名称から、完成した石鹸にも強いアルカリ性の原料がそのまま含まれているのではないか、と不安を感じる方もいるかもしれません。
固形石鹸は、植物油脂などに水酸化ナトリウムを反応させる「鹸化」という工程によってつくられます。
油脂の主成分であるトリグリセリドと水酸化ナトリウムが反応すると、脂肪酸ナトリウム、つまり石鹸と、グリセリンが生成されます。
水酸化ナトリウムは、油脂を石鹸へ変えるために必要な製造原料です。大切なのは、自然由来か化学物質かという単純な区分ではなく、油脂の種類や量に合わせて処方を設計し、適切な製造管理、熟成、品質確認を行うことです。
コールドプロセス製法では、一般的に成形後、数週間にわたって乾燥・熟成させます。この期間に水分が徐々に減り、石鹸として使用しやすい硬さや状態へ整えられていきます。
最終的な品質や安全性は、製造方法の名称だけで決まるものではありません。原料の配合、鹸化率、温度管理、熟成期間、製造環境、完成品の検査まで含めて確認する必要があります。
OCAでも、専門的な知識と製造設備を持つ日本国内のメーカーと連携し、化粧石鹸として必要な品質管理を行うことを前提に開発を進めます。

※掲載している石鹸の写真はイメージです。現在構想中のOCAカカオ石鹸の試作品・完成品ではありません。
■ 3.釜焚き製法とコールドプロセス製法
日本には、植物油脂を使った石鹸を製造する、優れた技術を持つメーカーが数多くあります。
今回、OCAが検討しているのは、主に「釜焚き製法」と「コールドプロセス製法」です。
① 【釜焚き製法】
釜焚き製法は、油脂とアルカリを釜の中で加熱しながら鹸化させる、伝統的な製法です。
鹸化の状態を職人が確認しながら製造し、メーカーによっては塩析や長期間の乾燥を行います。比較的硬く、形が安定し、溶け崩れにくい石鹸を設計しやすいことも特徴です。
ただし、釜焚き製法と呼ばれるものでも、塩析の有無、加熱時間、乾燥方法、グリセリンの扱いなどはメーカーによって異なります。
「釜焚き」という言葉だけで判断するのではなく、それぞれのメーカーがどのような考え方と工程で石鹸をつくっているのかを確認することが重要です。
② 【コールドプロセス製法】
コールドプロセス製法は、釜で長時間高温加熱する方法とは異なり、外部からの加熱をできるだけ抑え、鹸化反応によって生じる熱を利用しながら石鹸をつくる製法です。
カカオバターなど常温で固まりやすい油脂を溶かすため、仕込み時に一定の加温が必要になる場合もあります。そのため、厳密には「一切熱を加えない製法」ではなく、「必要以上の高温加熱を避けてつくる製法」と表現するのが正確です。
成形後は、通常、数週間かけて乾燥・熟成させます。油脂の配合を比較的柔軟に設計でき、素材の色合いや香り、使用感を生かした少量生産の商品づくりと相性が良いとされています。
現時点では、OCAの未精製カカオバターやカカオパウダーの特徴を商品として伝える第一弾には、コールドプロセス製法が適しているのではないかと考えています。
ただし、製法だけを先に決めるのではなく、同じOCA原料を使用した試作品を比較し、泡立ち、硬さ、香り、洗い上がり、保管性、製造原価などを総合的に確認したうえで判断します。
■ 4.食品の「非アルカリ処理」と石鹸の「鹸化」
OCAのカカオパウダーは、食品として非アルカリ処理で製造しています。
カカオパウダーのアルカリ処理は、一般に酸味、色、風味、分散性などを調整するために行われる加工方法の一つです。
OCAは、チャウドゥク産カカオが持つ酸味や香りを生かすため、食品用のカカオパウダーについては非アルカリ処理を選択しています。
一方、石鹸づくりにおける鹸化は、油脂を石鹸へ変えるために必要な化学反応です。
同じ「アルカリ」という言葉が使われていますが、食品用カカオパウダーの性質を調整するためのアルカリ処理と、油脂から石鹸をつくるための鹸化は、目的も工程も異なります。
また、コールドプロセス製法であっても、カカオに含まれるポリフェノールや香りなどが、製造前と全く同じ状態で残るとは限りません。
石鹸づくりでは、熱だけでなく、アルカリ環境や熟成中の変化も考える必要があります。どの成分がどの程度残るかについては、試作や分析を行わずに断定することはできません。
そのため、OCAのカカオ石鹸では、ポリフェノールなどの美容効果を中心に訴求するのではなく、次のような事実を大切にしたいと考えています。
OCAの農園で育てたカカオを原料にすること。
未精製カカオバターを使用すること。
カカオパウダーの自然な色や素材感を生かすこと。
これまで十分に活用されてこなかったカカオハスクに、新しい役割を与えること。
そして、日本の石鹸職人とともに、毎日使い続けたくなる品質をつくることです。

※掲載している石鹸の写真はイメージです。現在構想中のOCAカカオ石鹸の試作品・完成品ではありません。
■ 5.Farm to Skin――農園から、毎日の洗浄時間へ
ベトナム・ホーチミン市チャウドゥク区には、カカオだけを単一栽培するのではなく、バナナ、ココナッツ、胡椒、果樹などとともに育てる、豊かなアグロフォレストリーの農園が広がっています。
そこで農家が育てたカカオを、OCAの工場で発酵、乾燥、焙煎、加工し、食品として日本へ届けてきました。
私たちが次に目指すのは、「Farm to Bar――農園からチョコレートへ」の先にある、「Farm to Skin――農園から肌を洗う時間へ」という新しい循環です。
これは、カカオを肌に吸収させるという意味ではありません。
農園で生まれたカカオ原料を、食品とは異なる形で毎日の暮らしに取り入れ、これまで十分に活用されてこなかった部分にも新しい価値を与えるという考え方です。
未精製カカオバターは、石鹸の硬さや泡、洗い上がりにどのような違いを生むのか。
カカオパウダーの色や香りは、鹸化と熟成を経てどのように変化するのか。
カカオハスクは、肌への負担に配慮しながら、どのような方法で活用できるのか。
これから日本の製造パートナーとともに、一つずつ試作し、検証していきます。
完成品について「自然由来」や「無添加」と表示する場合も、処方が決定した後に、自然由来指数を含む表示基準や、実際に使用していない成分を確認したうえで、正確にお伝えします。
OCAのカカオを使うこと自体を目的にするのではなく、実際に使った方が、泡立ちや洗い上がり、香り、使いやすさを評価し、もう一度使いたいと思える石鹸をつくること。
農園の背景と日本の職人技が、日常の中で無理なくつながる商品をつくること。
OCAの新しい「Farm to Skin」の挑戦は、ここから始まります。
◆ 記事で紹介したOCAの食品用カカオ原料は、公式オンラインショップでご覧いただけます。
※以下の商品は、食品・食品原料として販売しているものです。化粧品としての使用や、肌への直接使用をご案内するものではありません。
● オーガニックカカオパウダー(食品用・非アルカリ処理)はこちら
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