
シンチャオ♪
チョコレートの魂が決まる最重要工程「発酵」についてお話しします。カカオの実は、収穫した直後はただのフルーツのような甘酸っぱい香りがするだけで、あの芳醇なチョコレートの香りは一切しません。その香りを引き出す鍵こそが、農園に隣接する施設で行われる「発酵」なのです。
バリア=ブンタウ省チャウドゥクにあるOCAの施設では、2000年代からこの地で受け継がれてきた伝統的な発酵方法を大切に守っています。カカオの実から取り出したばかりのみずみずしい白い種を、特製の大きな木枠に詰め、その上から現地で採れた大きなバナナの葉で厚く覆います。この状態で約6日間、じっくりと時間をかけて発酵を進めます。
この6日間、木枠の中では驚くべきドラマが起きています。バナナの葉に付着した野生の酵母や微生物たちが活動を始め、糖分を分解して熱を発生させます。木枠の中の温度は、時には50度近くまで上昇します。この「天然の熱」がカカオの種の中に浸透し、苦味を複雑な深みへと変え、チョコレート特有の香気成分を生成していくのです。
60代を迎え、長年この光景を見てきた私でも、バナナの葉から立ち昇る甘く濃厚な発酵の香りを嗅ぐたびに、自然の生命力に圧倒されます。私たちは、経験豊富なチャウドゥクの農家さんや発酵職人の方たちと共に、この伝統的な手法の精度を極限まで高めてきました。この地道な手仕事こそが、世界に通用するOCAの味の土台となっているのです。


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